麻生区文化協会会長就任のご挨拶

「あさお芸樹・文化のまちづくりに向けて」
麻生区文化協会 会長 板橋洋一
 今年4月21日の総会で、新たに会長の任に着きました板橋洋一です。これまで十余年にわたりリードしていただいた菅原敬子前会長に感謝しますとともに、今後ともご指導をお願いいたします。

 文化協会に限らず、今さまざまな会や組織に共通するのは後継者不足、若手へのバトンタッチができないという課題です。先日も報道されましたように、出生率が1.2となり新生児も73万人足らずという少子社会になりました。団塊の世代といわれ文化協会の中心メンバーとして屋台骨を背負われている方々が生まれたのはピーク時で290万人ともいわれていますので、4分の1の数になってしまいました。青空教室、二部制など、学校の教室が足らなくて授業をするのにも困難であった時代は、幻影のようです。

 そして、高齢化。戦後が終わったといわれた1955年時点の平均寿命は六十余歳でしたので、今では二十年以上長寿命化しています。また健康年齢も延びていますので、老いて益々盛んといわれるのも当たり前になっています。まして麻生区は長寿日本一の称号ももらい、元気な高齢者のご活躍は今後も大いに期待されます。
 時代は大きく変わったようです。気候変動、多発する地震、そして戦争。悲観的な要素もまた人々の不安をもたらせています。
 このような時代であるからこそ、まさに人間的な営みである文化・芸術への造詣の重みが大切にされるべきなのでしょう。
 翻って、麻生区は昨年区制40周年を迎え、いろいろな行事が歴史を振り返る作業を踏まえて行われました。そして今年は、麻生区文化協会が設立されて40周年にあたります。多くの先人が築かれてきた文化を振り返りながら、今の課題に向き合っていくことになると思います。

 麻生区の中心である新百合ヶ丘駅は、横浜市営地下鉄3号線の延伸も決まり、故中島豪一さんの言葉を借りれば、第三のまちびらきともいえる開発が計画されています。効率優先の再開発がどこも同じような駅前、景色にさせていますが、新百合ヶ丘はまだ40年しかない浅い歴史だからこそ、麻生区の芸術・文化の玄関であり続けなければならないと思います。

 個人的に肝に銘じてきた言葉に、“Think globally,Act locally”があります。広い視野をもちながら,身近に実践していく、そして「嬉しさは分かち合えば倍数になる。悲しみは分かち合えば分数になる。」ことを心がけてきました。
 文化・芸術の営みによってつながっていく麻生区のすばらしい魅力を、微力ですが支えられれば幸甚です。これまでに変わらず会員のみなさま、麻生区の市民のみなさまからのご協力を賜りますようお願いいたします。