H1,2コース 光物性工学 佐藤勝昭教官1997.4.22.日配布資料

第1回の授業の内容:Introduction

光物性工学には、基礎知識として電磁気学と量子力学が必要である。半年の講義は3部に分かれ、第1部では、光の伝搬を中心に光学定数、誘電率、反射率、偏光解析、磁気光学効果について学ぶ。第2部では、物質の電子構造に基づいて、電子論から光物性に迫る。主として半導体の光学遷移について議論する。第3部では光エレクトロニクスデバイスの原理について学ぶ。
電磁気学:Maxwell方程式を復習しておくこと。


第1回の問題回答
問題1:緑、赤、青、黄、紫を波長の短いものから順に並べよ。

解答:紫、青、緑、黄、赤 (逆向きに書いていた人が10人くらいいました。

問題2:光の波長λ(nm)と光子エネルギーE(eV)の関係を述べよ。


解答:E=1234/λ 
(この数字を覚えていない人は、E=hνを思い出してください。ここでν=c/λを代入すれば、E=hc/λ、しかしこれでは正しくありません。λをnm単位で表すなら、EをeV単位で表さなければならないからです。このままでは、h=6.62*10-34Js、c=3*108m/sを代入しすると、λがnm単位ならば、E=1.986*10-16-19Cで割らねばなりません。すると、1240という係数がでるのです。)

質問への回答
(今年は、佐藤勝昭教官はH2の就職担当のため、求人訪問客との接客のため1日中空き時間がありません。光物性工学に直接関係しない質問にはお答えしません。あしからず。)
Q1.(授業にでてきた)I形半導体とは何か。(H2岩倉)→A.intrinsic(真性:不純物の添加をしてないという意味です)
Q2.光のドップラー効果は生じるか。(H2小島)→A.光速に比べ通常の流体の速度は5桁以上小さいので、誤差の範囲に入ってしまいます。ビッグバン以来宇宙が膨張していると言われますが、これは、非常に速く遠ざかっていく星からの光のドップラーシフトから推定されているのです。
最近は光ジャイロでもドップラーシフトが使われています。
Q3.光物性の非線形性とカオスでおもしろい話はないか(鳥海)→A.20年以上前から、非線形光学素子を使ったフィードバック系でカオスが現れることが知られています。
Q4.電離と励起はどう違うのか(H2淵上)→A.電離とは中性の原子が電子を引き離されてイオン化することです。励起というのは、何らかの方法で、系を高いエネルギー状態に遷移させることです。
Q5.太陽はなぜ赤に見えたり、黄に見えたりするのか。(H1川口)→A.太陽光線は空気中を通るときにレーリー散乱をうけます。短波長ほどよく散乱されるので、空が青く見えます。夕方になりますと、太陽の高度が低くなり、地球の大気を通過する距離が長くなりますから、太陽光線のうち短波長成分が散乱されて、赤く見えるのです。
Q6.液晶にTFTとDSTNというものがあるがなぜDSTNの視野が狭いのか。→A:TFTというのはthin film transistorの略で各画素にtransistorによる光スイッチがついていると言うことで、active matrix方式ともいいます。TFT方式にはTN(twist nematic)液晶が使われることが多いようです。DSTNというのはdouble super twist nematic(2重ねじれネマティック液晶)ということで、TNやSTNより応答が速いのですが、TNより光路長に敏感なので斜めになると色が違って見えるのではないでしょうか。詳細は、専門家の飯村先生におたずねください。
Q7.太陽電池の費用、電力会社に売って元は取れるか。→A.私が設置した3年前には3kW出力で600万以上しましたが、いまでは、半額以下になっています。また、通産省から補助金がでるので、200万程度で設置できます。発電量だけでみれば10年、家で使ったのこりを売電したことによる収入だけを見れば20年くらいで元が取れます。

希望:実例を見せてほしい(太田)、実際にどう使われているかを知りたい(H2窪喜)、身近な事例で説明してほしい(H1小野寺、松木)、最近の開発ネタを教えてほしい(H2篠原)、LED、太陽電池について学びたい(H1:Ting)、太陽電池の構造をもっと詳しく(H1橋上)、レーザー関係を取り上げてほしい(H1望月) →なるべく、ご希望に添えるように頑張ります。

このほか、DVDの記録時間、MDが海外で普及しないわけ、CDRの寿命などについての質問がありましたが、デバイスのところではなします。

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