問題:蛍光灯、ブラウン管、LEDにおけるルミネセンスの分類
解答:蛍光灯:フォトルミネセンス(PL)(放電によって発生した紫外線により蛍光体を励起)
ブラウン管:カソードルミネセンス(CL)(電子ビームによって蛍光体を励起)
LED:エレクトロルミネセンス(EL)(pn接合を通して注入された電子正孔対の再結合
○このほか持ち込みできるもの:A4のレポート(授業のまとめ)、電卓
Q1.紫・青のレーザでディスクが劣化することはないか(H1石亀)→A.紫外線に近づくとディスクに用いるプラスチックの吸収や光劣化があるようです。従って、430nmが最適と言われています。
Q2.インバーター式蛍光灯のメカニズム (H1藤村 )→A.インバーターでは交流を一度直流にしてから周波数を高めて供給します。インバータ回路では最初放電するときに高い電圧が加わるようにプログラムされています。また、周波数を高くしたことで放電開始電圧も低下しているようです。
Q3. 自然発光における揺らぎの波を定在波にして制御できないか(H2小島)→A.微細構造を作って波を閉じこめようという試みはあるようです。
Q4.折り曲げた蛍光管で電子は直線的に加速されて部分的に強く光るのではなく万遍なく光るのはなぜか (H1児玉)→A.放電電流のパス(プラズマ密度の高いところ)が管に沿って曲がっており、そこから出る紫外線で励起しているので直線的に来る電子はあっても影響が少ないのだと思います。
Q5.チョークコイルとは何か (P佐藤)→A.日本語では塞流線輪といいます。要するに磁性体にコイルを巻いただけのもので、インダクタンスLと考えて下さい。
Q6.地震のときの発光の仕組み(P佐藤)→A.応力によってひずみが生じ、分極しして電荷Qが表面に現れたため、Q=CVによって高い電位が生じて、空気中で放電が起きて発光しているのではないかと言われていますが、よく分かっていません。
Q7.レーザは入射光と位相が等しいが自然放出光では位相が揃わないと考えればよいか (H2釣崎)→A.そのとおりです。
自然放出光の波面は誘導放出光と異なるか。→A.波面に違いはありません。
Q8.太陽電池は環境に対して危険な素子をつかっているのか。使っているとしたら改善が必要ではないか ( H2)→A.シリコンの太陽電池に関する限り、ほとんど環境汚染はありません。太陽電池はclosed systemなので廃棄処理に注意さえすればリサイクルも可能です。問題は火災ですが、毒性が指摘されるCdTe/CdS薄膜電池の場合、火災などの場合に基板のガラスが溶けて1ミクロン程度と薄いCdTe/CdSを包み込んでしまうように考えています。
Q10.電子のバンド間遷移はどのように起きるのか、バンドギャップのところは通れないのだから瞬時にエネルギーが変化するのか (H2原島)→A.光による電子状態の励起とは、光の電界を受けて電子雲の様子が変化することを表しています。これは、励起状態にある(エネルギーの高い)波動関数が基底状態に混じったと解釈できます。電子雲の変化の時間は遷移確率に反比例します。おそらくfs(フェムト秒)程度の応答速度ではないでしょうか。
Q11.光デバイスの授業で発光に必要な励起のエネルギーを与えると出てくる光が2倍になるというのがあったが分からなかった。 (H2古谷)→A.誘導放出では、光の電界で励起状態から基底状態に遷移します。このとき、もとの光子は消費されず、新たに励起状態から基底状態に落ちたことでエネルギーが光子として放出されるので、もとのとあわせて2倍になるのです。
Q12. 太陽電池の効率改善の方策(H2又吉)→A.あらかじめ分かっていたら研究の必要はありません。現在やっているのは、効率を下げている欠陥や構造を1つずつ洗い出して、改善を図るのです。地道な努力が必要です。
Q13.電球色の蛍光灯の原理(H1松川)→A.塗ってある蛍光体を選んで赤から黄色の成分を多く発光するようにしてあるだけです。
Q14.発光ダイオードは赤ばかりを見かけるがその他の色は作れるのか(H1望月)→A.キミの認識不足です。現在では全ての色が作られています。渋谷の109の大型ディスプレーは赤、緑、青のLEDが使われています。
Q15.紫外線レーザは実現できるか(H2淵上)→A.半導体レーザではこれからですが、気体レーザではHeCdレーザ、窒素レーザなどが普通に使われています。いずれも佐藤研、越田研にあります。固体レーザではYAGの3倍などが使われます。
Q16.紫外線を出すには真空管を必要とするがコストや電力は(H2淵上)→A.紫外線は真空でなくても通ります。真空が必要になるのは160nm以下の波長の場合です。
Q17.間接遷移ではなぜ吸収係数が低いのか(H1和賀井)→A.もしフォノンが関与しなければ許されない遷移です。従って本来吸収がないのです。しかし、フォノンを放出したり、吸収したりすることで、多少は光学遷移が許されるようになるのです。
Q18.自由励起子で電子と正孔が束縛しあう理由が分からない、ホールがどこかに行ってしまうのではないか(H2阿部)→A.ホールがどこかに行こうとしても電子がクーロン力で引きつけられて一緒に移動するのです。
Q19.時計の文字盤に使われる緑色の塗料は何ルミネセンスか(H2清田)→A.文字を浮き立たせる夜光塗料として、50年以上前はラジウムなどの放射性物質が崩壊するときに出す発光を使っていましたが、危険なので、燐光材料を使うようになりました。[注参照]フォトルミネセンスには蛍光と燐光とがあります。励起光を切った後すぐに発光しなくなるものを蛍光、切った後も光っているものを燐光といいます。燐光は欠陥や不純物にトラップされた電子が熱的にトラップから解放され、ホールと再結合するときに発光する現象です。蛍光燈器具のプルスイッチの紐の先についているつまみに燐光物質が使われています。最近では、文字盤全体が青とか緑に光るELが使われるようになりました。
Q20.蛍の発光機構(H2早田)→A. ATP(アデノシン三燐酸)の存在下でルシフェラーゼという酵素が酸化するときに生じる化学ルミネセンスです。酸化反応によるエネルギーを光の形で放出するのです。
Q21.LEDの照度(H1Ting)→A.日亜化学の青色LEDのカタログでは1Cd(カンデラ)となっています。
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[注]
夜光塗料を製造しているメーカのホームページ
には以下の記載があります。
>精工舎も1991年3月20日の新聞紙上で、「5年以内に放射性夜光塗料を全廃する」ことを 宣言する。
確かに「ラジウム」の使用は1960年代に終わっていますが「ラジウム
などの放射性物質」と書くと全ての放射性物質を使っていないと取れる可
能性もあります。
現在国内で生産されている一般用の時計には使われていませんがまだ入っ
ているものが流通されているものがあります。(中古等として)
TKPLAB技術部さんからのご指摘です。
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