E=E0e-iωt+ikx =E0 exp{-iωt+ikx} (1)
で表されます。上式においてkは波数とよばれ、空間的な周波数をあらわします。波長をλとすると、波数は波長λの逆数に2πをかけたものとして定義されます。従ってk=2π/λ です。k=nω/c (2)
と表されます。光速cは周波数 ω/2πと波長λの積なので、k=2πn/λ=2π/(λ/n)と書くことができ、媒質中の光の波長が屈折率分の1になっていることと対応しています。k=Nω/c (3)
なぜこうするかというと、このように複素屈折率を導入すると波動を指数関数で表したときに都合がよいからです。(3)を(1)に代入すると、次式のようになります。 E=E0e-iωt+iNωx/c
=E0e-iωt+i(n+iκ)ωx/c
=E0e-iκωx/ce-iω(t-nx/c) (4)
I ∝ |E|2=E02e-2ωκx/c (5)
で表されます。この式は、光が物質中を進むときに吸収を受けて弱くなっていく様子を表します。I (x)=I (0)e-αx (6)
として、吸収係数αが定義されます。吸収係数と消光係数の関係は、式(5)と式(6)を比較してα=2ωκ/c=4πκ/λ (7)
が得られます。ここにλは波長を表します。複素屈折率N=2.5+0.5i,厚さ1μmの媒体を波長λ=500nmの光が透過するとき |
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N=2.5+0.5iということはn=2.5, κ=0.5。 ω=2π/(5?10-7)=4π×106[rad/s] nωx/c=2πnx/λ=5×3.14×10-6/5×10-7=31.4 κωx/c=2πκx/λ=3.14×10-6/5×10-7=6.28 E (x)=E0e-ωκx/ce-iω(t-nx/c)=E0e-6.28e-iωt-i31.4 吸収係数α=4πκ/λ =1.26×107[m-1]=1.26×105[cm-1]I (x)=I (0)×e-12.56= 3.50963×10-6 となり、強く減衰します。媒体中の波長=λ/n=200 [nm] nωx/c=2πnx/λ=5×3.14×10-6/5×10-7=31.4 |
佐藤勝昭:太陽電池のキホン第4章(039)p.23による |
rotH=∂D/∂t+J | (8) |
ここに、E、Hは、それぞれ、電界[V/m]、磁界[A/m]を表すベクトル量です。 また、D、B、Jは、それぞれ、電束密度[C/m2]、磁束密度[T(テスラ)]、電流密度[A/m2]を表します。 |
D=εrε0E | (9) |
と書き表されます。ε0、μ0は真空の誘電率および透磁率です。ここに、ε0μ0=1/c2であることに注意しましょう。 |
εr=εr’+iεr” (10)
と書き表すことができます。(N2−εr)E=0 (11)
となります。この方程式がE≠0なる解を得るためにはN2=εr (12)
でなければなりません。
rot rotE=-εrε0μ0∂2E/∂t2=-(εr/c2)∂2E/∂t2 (a)
ベクトル解析の公式からrot rotE=grad(divE)-∇2E=-∇2E、
ここにdivE=0の関係を用いました。(ω2N2/c2)E=(ω2 εr/c2)E (b)
となって(11)式が得られました。
式(12)に、N=n+iκ、εr=εr’+iεr”を代入して実数部どうし、虚数部どうしを比較すると
εr’=n2-κ2 | (13) |
この式(13)を使うと、比誘電率がわかれば屈折率のおよその見積もりをすることができます。
たとえば、Si単結晶の比誘電率εrは11.9です。上式を使うとSiの透明領域の屈折率がn=3.44と求められます。
εr=n2 (14)
という関係が導かれます。
式(13)から、n、κをεの関数として求めると、
n2=(|εr|+εr')/2 | (15) |
等方性vs異方性
等方性:誘電率が方位に依存しない。例:GaAs
特定の方向(いま、x軸としておく)の誘電率の成分が、それに垂直な方向の誘電率の成分と異なる場合、異方性があるという。異方性のある場合、電界ベクトルEの向きと電束密度ベクトルDの向きは一般に平行ではない。従ってD=ε0εrEの式において、比誘電率εrはスカラーではなくテンソルを使って、次式で表さなければなりません。
(16)
ここで、問題を簡単にするために、x方向が、y、z方向と異なるような一軸異方性を持つとしましょう。(x軸を光軸といいます。)このときεxx≠εyy=εzzとなるので、εテンソルはεxxとεzzの2成分で記述できます。(16')
(17)
となるので、Nの固有値はN2=εzz (18)
のみとなり、あたかも屈折率εzz1/2の等方性媒質中を伝搬する波のように伝搬するのです。E=E0e-iω(t-Nz/c) (19) についての永年方程式は
(20)
となる(問題2参照)ので、Nの固有値はN2=εxx または、N2=εzz (21)
となって、2つの値を持ちます。 それぞれに対応する固有関数は、x方向に偏り屈折率εxx1/2をもつ波と、x軸に垂直なy方向に偏り、屈折率εzz1/2をもつ波です。δ=ω(εxx1/2-εzz1/2)z/c (22)
の位相差を受けることになります。この位相差?のことを光学的遅延(リターデーション)と呼んでいます。
光の伝搬は光学定数を使って表すことができました。屈折率は、媒体中での光の速度を、消光係数は媒体中での光の減衰を表すことを学びました。
複素誘電率から光学定数を求めることができます。この関係はマクスウェル方程式を解くことによって得られました。
異方性のある媒体の屈折率は、屈折率楕円体で表され、光の伝搬方向に依存することがわかりました。光の伝搬は光学定数を使って表すことができました。屈折率は、媒体中での光の速度を、消光係数は媒体中での光の減衰を表すことを学びました。